季節の言葉

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梅雨寒とは何?温度は何度くらい?意味と使われ方を解説!

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梅雨の時期には、急に寒くなることがあります。暑い日が続いて、半袖のシャツを着て外出していたのが、突然の寒さであわてて冬物のセーターを取り出した経験のある方は多いことでしょう。

 

この現象を梅雨寒、もしくは梅雨冷と呼びます。

 

本来暑い夏に寒い時期があるというのは不思議ですが、いくつかの気象条件が重なることでこのような現象が起きるのです。

 

実は、日本には梅雨寒がない地域もあります。これも気象のなせるワザです。

 

ここでは、そんな梅雨寒について解説していきます。

 

梅雨寒の意味

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梅雨寒とは、梅雨の時期に起きる季節外れの寒さのことをいいます。具体的には約20°c前後の気温がその目安とされています。4月上旬頃の陽気と考えるといかもしれません。

 

梅雨寒の原因は、この時期に日本列島の北方オホーツク海上に発生するオホーツク海高気圧が運ぶ冷たい空気です。

 

オホーツク海高気圧自体はもともと亜熱帯ジェット気流によって運ばれてきた温暖な空気の塊ですが、オホーツク海という冷たい海上で発生することで冷やされて冷たくなります。また、日本列島には海上を渡ってくるために湿り気を含み、湿度も高いものとなります。

 

このオホーツク海高気圧と南の海上で発生する太平洋高気圧とが日本上空でぶつかると、そこに前線が発達して雨を降らせます。これが梅雨のメカニズムです。

 

梅雨寒は梅雨の時期にオホーツク海高気圧が運んでくる冷たい湿った空気によって引き起こされます。オホーツク海高気圧の影響が強い関東、東北といった東日本で起きることが多い現象です。この時期、東北地方では「やませ」と呼ばれる冷たい風が吹きますが、これは東北地方におけるオホーツク海高気圧による冷たい空気の呼び名となります。

 

反対に南海から暖かな空気とともにやってくる太平洋高気圧の影響が強い関西、四国、九州などの西日本では梅雨寒となることは基本的にありません。

梅雨時はオホーツク海高気圧と太平洋高気圧が日本列島の上空でせめぎあっており、このうちオホーツク海高気圧の勢力範囲で梅雨寒になるのです。いわば、オホーツク海高気圧の位置によって梅雨寒となる地域が決まってくるといえるでしょう。

 

梅雨寒の使われ方は?

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梅雨寒は俳句の季語として使われています。傍題には梅雨冷、梅雨寒しなどがあります。

 

また、手紙の挨拶文として使われることも多いようです。

 

「梅雨寒の候」といった手紙の書き出しや「梅雨寒の時節柄、ご自愛ください」といった結びの言葉に使われています。

 

梅雨寒が使われる時期は6月初旬から梅雨の終わりまでの期間です。

 

まとめ

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梅雨寒は本来暑いはずの時期に訪れる季節外れの寒さのことです。また、原因となるオホーツク海高気圧の位置によって起きる地域が決まってきます。同じ日本にいながら、梅雨寒のある場所とない場所とが分かれるというのはとても興味深く感じられます。