立春は暦上で春になったことを表す言葉です。ただし、春とはいっても1年でもっとも寒いとされる大寒の次にくる季節のため、肌に感じる寒さは変わりません。むしろ、より寒いと思うことのほうが多い時期であり、春というには少し早すぎるというのが多くの方が実感しているところでしょう。
実は、立春の頃を境に日脚が伸びたと感じる日が増えてくるといわれています。実際に、昼間、太陽が出ている時間が冬至の頃と比べると長くなっています。日の出が10分早く、日の入りは40分遅くなっているのです。
寒い時期であることに変わりはないのですが、日照時間を考えると、厳しい冬の季節は過ぎつつあるといえるのが立春の頃なのかもしれません。
ここでは、立春の意味と行事について解説していきます。
立春の意味と時期
二十四節気とは、太陽の動きを基に農作業の指標となるように考えられた暦のことをいいます。春夏秋冬の4つの季節をそれぞれ6等分して全体を24に分け、それぞれに名前をつけて、日々の暮らしの指標としたのです。
春の部は、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の順に並んでおり、立春はそのうちの1番初めとなります。春が立つ日とされ、文字通り春の始まりです。立春の前日が節分で、春を迎えるにあたって、災厄をはらい、福を呼び込むための行事がにぎやかに行われます。
代表的なものが豆まきです。また、鬼の嫌う鰯の頭をとげのある柊に刺して玄関に立てることも行われています。
さて、立春の時期は、基本的に2月4日頃から2月18日頃までですが、年によっては1日ないし2日程度の違いがあります。
二十四節気は太陽の動きを基準にして作られた暦であるため、その日取りには毎年いく日かのずれが生じます。そのため、立春の日取りも、そのずれに応じて決まるからです。
ちなみに2024年の立春初日は2月4日となります。この日から2月19日の雨水の前日2月18日までが立春の時期です。
ところで、正月にも新春や迎春のように春という言葉が使われます。その理由は、1年のうちに2回、春という季節がくるのではなく、新暦と旧暦とが混在して使われているためです。
旧暦は新暦よりも1ヵ月ほど遅くなります。そのため、旧暦の正月は新暦の2月頃にあたり、新しい年とともに春が到来したことを示す新春や迎春という言葉が使われてきました。明治になって新暦が使われるようになってからも、それがそのままの形で使われ、現在に至っているのです。
立春の行事
立春の時期に行われる行事としては、立春大吉や建国記念の日、さらにはバレンタインデーなどがあります。
立春大吉とは立春の日に災厄をはらうための玄関に貼るお札のことです。白地の紙に立春大吉と書き、それを玄関先に貼ることで家に鬼が入ってくることを防ぎ、厄除けとしたのです。
立春大吉という言葉は左右対称で、表側から見ても裏側から見ても同じように見えます。そのため、鬼が家に入ってきてもこの言葉を見ることで、まだこの家には入っていないと勘違いをして出て行くといわれています。
災厄をはらう縁起のよい言葉とされているのです。
建国記念の日は2月11日で国民の祝日です。この日は神武天皇が即位をされた日とされ、太平洋戦争前は紀元節と呼ばれて様々な行事が行われてきました。
戦後、紀元節はGHQにより廃止されます。その後、国民の祝日を定めるにあたって世論調査が行われましたが、そのときに、この日を建国記念日とすべきとの考えをもつ人が多いことがわかりました。
しかし、歴史的に確定している日ではないことや、戦前、国策としての戦争遂行の手段として使われてきたことなどへの反発などの理由から建国記念日の取り扱いについての議論が続きました。
その結果、昭和41年に国民の祝日に関する法律により「建国をしのび、国を愛する心を養う」日として、2月11日が、「建国記念の日」として定められたのです。
この日には国家としての行事は行われませんが、全国で様々な式典や奉祝パレードが行われます。
バレンタインデー
2月14日はバレンタインデーです。女性が男性にチョコレートを渡して愛の告白をする日として親しまれています。ただし、現在では愛の告白だけではなく、目上の人や親しい友人に対する贈り物としての側面もあるようです。なかには頑張っている自分へのご褒美としてチョコレートを買う、という方もいます。
もともとは、恋人同士が贈り物をする日とされてきたバレンタインデーですが、その日をチョコレートの販促に利用するところから始まったのが日本におけるバレンタインデーでした。
そのため、バレンタインチョコの風習があるのは日本だけといわれています。また、そのお返しとしてのホワイトデーも海外にはないようです。
まとめ
立春は真冬の寒さを引きずりながらも、徐々に春へと季節が進んでいく時期といえます。日照時間も長くなり、梅の花が咲き始めるのもこの頃です。
立春の前日に行われる節分の豆まきや、立春当日の立春大吉などの行事には春の日差しが感じられます。さらに、バレンタインデーのように華やいだ行事も行われ、春に向けて心が少し軽くなってくる時期が立春ということもできるでしょう。