季節の言葉

四季折々の言葉や行事を綴っていきます

秋暑し

秋暑しは、秋になってもまだ残っている暑さのことで、俳句の季語となっています。8月の初めに立秋となり、暦のうえではこの日から秋となります。秋暑しは立秋以降に感じる暑さのことをいうのです。

 

この時期に感じる暑さを表す言葉には、残暑、残る暑さ、秋暑があり、いずれも季語となっています。代表的なのが残暑で、それ以外は傍題と呼ばれ、意味は同じですが、呼び方を換えた言葉とされています。いわば、日常的に使われているのが残暑であって、それ以外は使われる機会がさほどない言葉ということもできるでしょう。

 

秋暑しが使われる時期は立秋から彼岸までとされています。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」ということがいわれていますが、彼岸を過ぎると暑さもおさまってくるから、というのがその理由のようです。

 

さて、季節は秋に変わったのにいつまでも暑いのはやりきれない、という感覚を秋暑しという言葉は表しています。しかし、近年はこのような感覚をもつことが少なくなったのではないか、と思います。

 

年によっては夏から冬へ一足飛びに季節が変わってしまったかのように感じることもあります。秋の風情というものが先にあるからこそ、秋暑しという言葉が生きてくると思うのですが、その秋の期間が年々短くなってきている気がするからです。

 

気持ちの良い季節がだんだんと狭められていく。そのようなときだからこそ、季節の変化を表す言葉を大事にしていきたいものです。