季節の言葉

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寒露とは何か?二十四節気を解説!

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寒露とは、お彼岸も過ぎて気温も下がり、過ごしやすくなってきた時期を表す言葉です。街にはキンモクセイの甘い香りが漂い、人々の服装も赤や黄色、ブラウンといった暖色系のものが目立つようになります。

 

しかし、この時期が寒露と呼ばれるのは日中の気温が下がるためではありません。朝、草木に結ぶ露が冷たくなるところから寒露と呼ばれるようになったのです。

 

そこで、この記事では寒露の意味や時期、さらに行事についてくわしく解説していきます。

 

寒露の意味と時期

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寒露とは二十四節気の1つで、早朝、草木に結ぶ露が冷たくなり、日中の空気も冷やかに感じられる時期のことをいいます。

 

二十四節気とは、太陽の動きを基に農作業の指標となるように考えられた暦のことです。私たちの先祖は、春夏秋冬の4つの季節をそれぞれ6等分して全体を24に分け、それぞれに名前をつけて、日々の暮らしの指標としました。

 

秋の部は、立秋処暑、白露、秋分寒露霜降の順に並んでおり、寒露はそのうちの5番目の時節です。

 

寒露の日取りは毎年変わりますが、基本的に10月8日頃から10月22日頃までがその時期にあたるとされています。寒露の日取りが毎年変わる理由は二十四節気が太陽の動きにあわせて作られているためです。

 

地球は太陽の周囲を楕円形に周っているため、周期が変化します。この変化の幅によって二十四節気の日取りにずれが生ずるのです。寒露の日取りが毎年変わるのはこの理由によるためとなります。

 

2024年の寒露は、10月8日から10月22日までです。

 

さて、この時期が寒露と呼ばれるのは、草木につく朝露が冷たくなってくるためです。風のない夜には、昼間、太陽の熱によって温められた地表の空気が上空へと昇っていきます。そのため地表の温度は下がります。

 

この現象を放射冷却現象といいますが、地表の温度が下がることで空気中の水蒸気が固まって露となります。このときに生ずる露が冷たくなる時期を寒露と呼んでいるのです。

 

二十四節気のなかで、放射冷却現象によって、早朝、草木に露が結ぶのは白露の時期となります。しかし、寒露はそのときよりもさらに空気が冷え込んだ時期をいうのです。

 

ちなみに、寒露の時期よりもさらに冷え込みが激しくなると、草木の露は凍り、霜となります。霜が降りると季節は寒露から次の霜降へと進んでいきます。

 

草木に結ぶ露の変化を、季節の指標としているのが寒露の時期ともいえるでしょう。

 

寒露の行事

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寒露の期間に行われる行事として有名なのは十三夜です。

 

十三夜とは、旧暦9月13日の月を眺めて楽しむ行事をいいます。新暦では毎年10月中旬から下旬のいずれかがその日となります。そのため、年によっては十三夜とされる日が次の霜降の時期にずれこむこともあります。旧暦と新暦とでは約1ヵ月のずれがあるのでこのように日が違うのです。

 

なお、中秋の名月として知られる十五夜が満月であるのに対し、十三夜の月は少し欠けていて満月ではありません。それでも十三夜の月を尊ぶのは、延喜19年(平安時代の初め)旧暦9月13日に時の醍醐天皇が、十五夜とともに十三夜の月を愛でる宴を催したからとされています。

 

以来、月見といえば十三夜と十五夜をセットにして楽しむという風習が行われるようになりました。

 

ちなみに、十五夜の月だけを観て、十三夜の月を観ないのは片見月と呼ばれ、縁起が悪いといわれています。その理由として有力なのが、江戸時代の遊郭十五夜に遊びに来た客に十三夜にも再び来てもらうためにいわれ始めたとされるもの。

 

日本人の好きな縁起物にかけたキャッチコピーと考えるとよいかもしれません。

 

また、十五夜同様十三夜にもお供えをします。十三夜は別名を栗名月や豆名月ともいわれており、月見団子とともに栗や豆なども供えます。場合によっては月をながめながら、栗、豆を使ったスイーツを味わうのもよいでしょう。

 

まとめ

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寒露は、早朝、草木に結ぶ露が冷たくなるとともに日中の空気も冷たくなる時期です。また、年によっても変わりますが、旧暦9月13日の十三夜のお月見の時期にもあたります。

 

暑い夏が涼しい秋へと季節が進み、空気も澄んで快適な気候となる時期が寒露といえるでしょう。