穀雨とは二十四節気の1つで春の終わりにあたる時期をいいます。百穀を潤す雨が降るという意味をもち、農家の方にとっては農作業を始めるにあたってとても大切な季節です。
また、日差しも強くなるため、ときとして暖かさを通り越し、汗ばむくらいの陽気となることがあります。反面、急に気温が下がって朝などは霜が降り、農作物が思いがけない被害にあうこともある時期です。
特に立春から数えて八十八日目にあたる穀雨の最終日に降りる霜は「八十八夜の忘れ霜」と呼ばれ、注意されてきました。
ここでは、そんな穀雨について解説します。
穀雨はいつ?
穀雨は毎年4月20日から5月4日頃までとなります。ただし、日付が特定されているわけではなく、年によって1日ないし2日程度ずれることがあります。その理由は、二十四節気の決められ方によるものです。
二十四節気とは、太陽の動きを基に農作業の指標となるように考えられた暦のことをいいます。春夏秋冬の4つの季節をそれぞれ6等分して全体を24に分け、それぞれに名前をつけて、日々の暮らしの指標としたものです。
二十四節気は太陽の動きを基準にして作られた暦であるため、その日取りには毎年いく日かのずれが生じます。穀雨の日取りもそのずれに応じて決まるため、日付が決まっていないのです。
春の部は、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の順に並んでおり、穀雨はそのうちの6番目、春の最後の節気となります。
2024年の穀雨は、4月19日から5月4日までです。
穀雨の意味
二十四節気の1つである穀雨は「百穀春雨」(ひゃくこくはるさめ)という言葉からきています。文字通り、春に降る雨が百穀を潤すという意味です。
穀雨は気温も上がり、まとまった雨が降るため、農作物の新芽の生育をうながすのに適した時期になるとされているのです。
穀雨の行事
穀雨といっても特別な行事は行われません。ただし、穀雨の終わり頃は八十八夜と重なるため、農作業を行うにあたってのメルクマールにあたる時期です。
八十八夜
八十八夜とは立春から数えて八十八日目にあたる日をいいます。大体5月2日頃がその日になりますが、農作業を行うに際してはメルクマールとなる大切な日です。
八十八夜の頃は、昼間、温められた空気が夜間になると上昇することで地表面の気温が下がる放射冷却の影響によって霜が降りる可能性がまだ高い時期です。そのため、農作物が霜害の影響を受けることがあります。先述した「八十八夜の忘れ霜」と呼ばれる現象がそれにあたります。
その一方で、八十八夜を過ぎると霜が降りることはなくなるため、霜害の影響を心配する必要は少なくなります。いわば、農作業が次の段階に移行する時期なのです。
また、八十八夜には日本人の大切な主食である「米」にちなんだ意味もあるとされています。すなわち、八十八という文字をまとめると「米」になるところから、八十八の文字が特別視されてきたというものです。
八十八夜とは、実際の季節が移り変わる時期と文字の作りとが重なるところから農作業の目安としてとらえられてきたのです。
さらに、八十八夜は新茶の時期としても有名です。唱歌「茶摘み」はこの頃の様子を描いた歌として多くの人々に歌われています。
まとめ
穀雨について解説してきました。
百穀潤す雨と読むように、穀雨の時期は本格的に農作業を始めるにあたって大切な時期でした。二十四節気が使われ始めた目的である農業の目安として大きな意味をもつ節気ということができるでしょう。