季節の言葉

四季折々の言葉や行事を綴っていきます

春爛漫とは

春爛漫とは、春になって花が咲き乱れ、あたりが明るくなる様子をいいます。爛漫だけでも同じ意味をもつのですが、そこに春という言葉が加わることによって、さらに華やかさが増す、といったところでしょうか。

 

春爛漫のうち、爛という文字には、色彩鮮やか、明るい、光る、といった意味があります。しかし、そのほかに腐るという意味ももっています。爛熟という言葉があるように、ものごとが発達しすぎてかえって弊害がおきてくる時期を指すときに使われます。果物が熟しすぎて腐り始めるとき、といえばわかりやすいかもしれません。

 

春爛漫と聞けば、春もたけなわ、霞がたなびくなかに桜が咲き誇っているイメージが目に浮かびます。花びらが一面に散り敷かれた桜の樹の下では多くの人々が花見に興じている。考えるだけで浮き浮きした気分になります。

 

しかし、その頃になると、すでに地面に落ちた花びらの一部は腐り始めているかもしれません。爛熟した春の終わりのときが迫っているのです。そのように考えると春爛漫という言葉からは、華やいだイメージだけではなく、季節が終わってしまう一抹の寂しさをも感じます。

 

この感覚はほかの季節からは感じられません。果物が熟し腐っていくイメージは春という季節だからこそのもので、夏や秋、冬といった季節にはあてはまらないでしょう。