季節の言葉

四季折々の言葉や行事を綴っていきます

皐月とは何月のこと?意味を解説します

皐月(さつき)とは5月の異名です。日本では数字だけではなく、時候の特徴を示す言葉を使って月を表してきました。この言葉を和風月名と呼びます。たとえば、1月を睦月、3月を弥生という言葉で表しているのがそれにあたります。皐月もそのうちのひとつです。

 

皐月には田植えを始める時期という意味があるとされています。また、「皐」には神へ捧げる稲の意味があるといわれています。田植えを始めるにあたってその年の豊作を神に願う、といった意味が皐月には込められているといえるでしょう。

 

さて、冒頭で皐月を5月の異名と書きましたが、これは新暦5月のことです。しかし、本来、皐月が表しているのは、旧暦5月のこととなります。

 

月の動きを基準として、それに太陽の動きを加えた太陰太陽暦によっている旧暦と太陽の動きに基づいた太陽暦によっている新暦とでは年月の数え方が異なります。具体的には、旧暦のほうが新暦よりも約1ヶ月遅くなるのです。

 

そのため、旧暦5月は新暦6月にあたることになります。新暦6月は梅雨に入り、田植えが始まる季節。本来の皐月の意味に合致した月です。それならば、新暦6月を皐月と呼ぶほうがよいのではないか、と思うのですが、そのような扱いにはなっていません。

 

これは、明治政府によって暦の扱いがそれまでの旧暦から新暦に変えられたときに、和風月名についてはそのまま使われ続けたことが原因とされています。日数の数え方が変わることで生じる季節感のずれをそのままに、1月は睦月、2月は如月、と機械的にあてはめて足れりとしたため、このようなことが起きているのでしょう。

 

ちなみに新暦6月は和風月名では水無月(みなづき)と呼ばれています。