年越しの大祓は毎年12月31日に全国の神社で行われる行事です。身についた罪や穢れを払い、新年を新たな気持ちで迎えるために行なわれるものとされています。
これと似た行事に夏越しの祓があります。こちらは毎年6月30日に行われる行事で茅の輪くぐりが有名です。これら2つの行事にはどのような関係があるのでしょうか。
ここでは、年越しの大祓の意味と夏越しの祓との関係について解説していきます。
年越しの大祓の意味
年越しの大祓とは、12月31日の大晦日に神社で行われる罪や穢れを払う行事のことをいいます。ここでいう罪とは、日常生活の中で気づかないうちに犯してしまっているちょっとした嘘や他人を傷つけてしまう言動などをさします。
また、穢れとは、神道の考え方に基づくものです。神道によれば、人間は本来、純粋無垢な状態で生まれてくるのですが、生きていく間に遭遇する様々な事象、たとえば、死や病気、けが、さらには出産、女性、排泄、性交などによってその純粋さが隠されてしまうとされます。
現代の感覚からすれば、違和感がありますが、神道では、これらの事象を穢れと呼んで忌むべきものとしていました。
そこで定期的に儀式を行うことで罪や穢れを払い、生まれたときの純粋さを再びよみがえらせることが必要とされてきたのです。
この行事が大祓であり、12月31日の大晦日に行われるものが年越しの大祓と呼ばれています。
夏越しの祓との関係
夏越しの祓は年越しの大祓と同じく、身についた罪や穢れを払うために行なわれる行事です。すなわち、2つの行事は同じ意味をもっており、行われる時期が違うだけのものなのです。
ただし、行事としてみたときには、有名な茅の輪くぐりが行われるのは夏越しの祓であり、年越しの大祓では行われません。(神社によっては両方の行事で行われるところもあります)
また、夏越しの祓の行事食として、夏越しごはんや水無月という和菓子が有名ですが、年越しの大祓には、特に行事食というものはありません。
両方の行事に共通しているのは、紙で作った人型にその人の罪や穢れを移しかえて川へ流すというもの。人型には自分の名前を書き、体をなでて息を3回吹きかけるとされています。こうすることで、その人型に罪や穢れが移しかえられるとされているのです。
現在では人型ならぬ車型も登場しています。安全が求められる乗り物だからこそ、穢れを払うことが必要ということなのでしょうか。
まとめ
夏越しの祓が行われるのは、毎年6月30日。これに対して年越しの大祓は前述のとおり、12月31日に行われます。定期的に穢れを払う儀式を繰り返すことでその人だけではなく、社会全体を良くしていこうという思いがそこにはあるのでしょう。