季節の言葉

四季折々の言葉や行事を綴っていきます

暮の秋とは 秋の暮との違いは何?

暮の秋とは秋が終わる時候をいいます。晩秋の頃をさして使われる季語です。これに対して秋の暮とは秋の一日が終わるときを指します。秋の夕暮といえば秋の暮のことになるのです。

 

使われている言葉は同じでも、順序を変えると意味がまったく違ってくるというのは面白いと思います。ただ、暮の秋の傍題には、秋暮る、という言葉があります。こちらも秋の終わりを指しているのですが、字面通りでは、秋の暮、と同じ意味のように思ってしまいがちです。使う際には注意しなければなりません。

 

さて、暮の秋に似た言葉としては、行く秋、秋行く、秋惜しむなどがあります。いずれも過ぎていく秋を惜しむ心を前面に押し出している言葉です。歳時記には暮の秋に比べて詠嘆的である、と書かれています。行く秋を暮の秋を擬人化したもの、と書いている歳時記もあります。

 

暮の秋からも秋を惜しむ心は感じられるのですが、それ以上に心の思いを感じさせる言葉として、行く秋や秋惜しむがあるのでしょう。