季節の言葉

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大晦日は何をする日?意味と由来を解説!

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1年最後の日となるのが大晦日。年が変わる前にその年に起きた出来事を思い返し来たるべき新たな年に思いをはせる。大晦日はそんな特別な思いを多くの人に抱かせる日だと思います。

 

それでは大晦日はどんな意味をもつ日なのかご存知でしょうか。

 

実は大晦日は単に年が変わるというだけではありません。新しい年の幸運を運んでくる歳神を迎える行事といった意味ももっているのです。

 

ここでは大晦日の由来と意味について解説し、さらにその日に行われることを紹介します。

 

晦日の由来

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晦日の由来は平安時代にまでさかのぼるといわれていますが正確にはわかっていません。昔の日本ではその年の最後の日に幸せを運ぶ歳神が家にやってくると信じられていました。人々は歳神をつつがなく迎えることで一家の幸福を願ったのです。

 

歳神を迎えるには決められた作法があり、それに則ることが必要とされました。門松やしめ縄といった正月飾りを飾ったり、一晩中寝ずに元日の朝を迎えたりといったことがそれにあたります。

 

晦日は年があらたまるだけではなく歳神を迎える日でもあったのです。

 

晦日の意味

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晦日は「大」と「晦日」の2つの言葉をあわせたものです。「晦日」は旧暦で使われた言葉で毎月の最後の日のことをいいます。1月31日とか6月30日とかいう日のことですね。

 

旧暦は月の満ち欠けを中心にして作られています。月が隠れて見えないときを新月、すべて見えるときを満月と呼び、新月から満月、満月から再び新月へと繰り返す日数を1ヶ月と定めているのです。

 

そのため、1ヶ月が終わる日は新月となって月は隠れてみえなくなっています。「晦日」の「晦」の字には月が隠れるという意味があり、ここから月の最後の日を「晦日」と呼ぶようになりました。

 

また「大」は文字通り大きいという意味なので、これと「晦日」が合わさって1年の最後の日を「大晦日」と呼ぶようになったのです。

 

なお、「大晦日」の前日、12月30日のことを特に「小晦日」(こつごもり)と呼びます。通常の月の最後の日は「晦日」ですが、年が変わる日の前日ということでこのような呼び方をしているのです。

 

また「小晦日」は俳句の季語にもなっています。

 

晦日にすること

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晦日は歳神を迎える日とされているため、前述したように正月飾りを飾ります。正月飾りには、

  1. 門松
  2. しめ縄
  3. 鏡餅

 があります。

 

いずれも歳神の依代と考えられていますが、それぞれに違った役割をもたされています。

 

門松は歳神に自分の家を指し示す道しるべです。歳神は門松を目印にやって来るとされるからです。しめ縄には歳神がいる神聖な場所とそれ以外の場所とを隔てる役割があります。しめ縄を飾ることによって結界を作っているわけです。

 

また鏡餅は歳神への供え物であり、居場所ともなります。

 

なお、古くから大晦日の晩に寝ないで歳神を迎えるという風習がありました。しかし現在ではほとんど行われていません。

 

明治時代に行われた天皇肖像画御真影)を拝む拝賀式や元旦に小学校に登校する元旦節といった行事を経て、鉄道の発達に伴い各地の神社仏閣への初詣が定着。歳神を待つというよりもこちらから参賀するという形が一般化したためです。

 

この他、大晦日にする行事としては

  1. 年越しそばを食べる
  2. 除夜の鐘を聞く

といったものがあります。年越しそばを食べるのは運気を上げて幸運を呼び込むという意味があり、除夜の鐘を聞くのは108つある人間の煩悩を絶つためといわれています。

 

いずれも新年を希望に満ちたものとするために行なわれる行事といえるでしょう。

 

晦日の呼び方いろいろ

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晦日は俳句の季語となっており、傍題として次の呼び方があります。

 

大三十日

袖濡れて硯洗へり大三十日 水原秋櫻子

大年

大年の日落ち流水尚見ゆる 中村草田男

おおつごもり

吹き晴れし大つごもりの空の紺 星野立子

 

まとめ

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晦日は歳神を迎えて新しい年の幸を願う日でした。現在では歳神について意識する人は少ないかもしれませんが、新しい年を今年よりももっと良い年にしたいとの思いは変わらないでしょう。

 

その思いを大切にして清清しい新年を迎えたいものですね。