季節の言葉

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小正月って何?意味と由来を解説!

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小正月はよく聞く言葉ですが、具体的な意味や正月との違いについてはご存知でしょうか。

 1月半ばに行われる行事ということぐらいは知っているけれど、それ以上のことはよくわからない。ましてや正月との違いとなるとちんぷんかんぷんだ。

 こういった方は多いかもしれません。

 実は小正月とは正月を終わらせるための行事となります。正月に迎えた歳神を送るとともにその年の無事安穏を願うことを主な目的として行われるのです。いわゆるどんど焼きを行うのもこのためといわれています。

 ここではそんな小正月の意味と由来について解説します。

 

小正月は何をする日なのか

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小正月とは歳神を送るとともに、その年の安穏を願う日となります。その際に行われる行事は地方によって呼び名が違いますが内容はほぼ同じようです。

 代表的な小正月の行事には次のものがあります。

 

どんど焼き

正月飾りである門松、注連飾り、また書初めなどを青竹や藁、杉などで組んだやぐらと一緒に燃やす行事です。1年間の無病息災と五穀豊穣、無事安穏を祈ります。このときに立ち昇る炎とともに正月に迎えた歳神が帰っていくとされているのです。

また、燃やした書初めの煙が高く昇っていけば字がうまくなるともいわれています。

ちなみにどんど焼きは別名を左義長どんどん焼き道祖神祭などともいい、地方によって呼び方が違います。

餅花 

ヤナギ、エノキなどの枝に紅白の小さな餅を飾り付けたものです。養蚕が盛んだった東日本では餅を繭玉の形にして飾るので繭玉とも呼ばれています。いずれもその年の五穀豊穣を祈る予祝の意味をもっていました。

小正月には神棚だけではなく、玄関や応接間などにも飾られます。

民俗学者宮本常一は、トイレに飾られている餅花を見たことがあると、その著書『民間暦』のなかで書いています。宮本常一が書いているのは南九州での出来事ですが、そこでは餅花が正月の門松にあたるものとされていたとの記載もあります。

小豆粥

小正月には小豆粥を食べる風習があります。小豆の赤い色には古くから邪気を払う力があるとされてきました。小正月に小豆粥を食べることで邪気を払いその年の幸運を願ったのです。小豆には疲労回復や便秘の改善などに効果があるとされるビタミンB1や食物繊維が多く含まれており、健康維持のためにもメリットのある食材です。

粥占

小正月には粥を炊いてその年の吉凶を占う粥占という行事が行われてきました。炊いた粥に棒を入れ、そこに付いた米粒の数で占うとされています。一般家庭で行う行事ではなく、各地の神社で小正月の祭礼として行われています。

 

小正月はいつから始まったのか

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小正月の行事が始まった正確な時期はわかりません。日本人は古くから月の満ち欠けを基準として暮らしてきました。新月から満月、そして再び新月となる日までを1ヵ月としていたのです。

なかでも満月は照明などなかった当時の人々にとって神聖な日とされてきました。そのため1月になって初めての満月となる1月15日は特に神聖な日とされ、この日を正月としていたといわれています。現在、小正月と呼んでいる日が本来の正月だったのです。

それが現在のように変わったのは、中国と同じく新月となる1月1日を正月とするようになってからです。さらに明治時代になって新暦を使うようになってからは1月1日を「大正月」1月15日を「小正月」と呼ぶようになったといわれています。

 

「大正月」と「小正月」との関係

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「大正月」と「小正月」とはセットになっています。「大正月」に歳神を迎え、「小正月」に迎えた歳神を送るという関係になっているのです。

「大正月」に正月飾りを飾り、「小正月」にどんど焼きを行うのはそのための行事といえるでしょう。「小正月」が終わることで正月の行事が終了するのです。

なお、「小正月」を「女正月」と呼ぶことがあります。これは「大正月」で忙しく働いた女性に休んでもらうのが「小正月」だから、といった意味からきているようです。

 

まとめ

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小正月」の意味と由来について解説してきました。華やかな正月と比較すると幾分か地味な行事ですが、古くから日本人がもっていた自然への思いを形にしたものとして大切にしていきたいものです。