季節の言葉

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夏越しの祓ってどんな行事?意味と由来を解説!

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夏越しの祓ってよく聞くけれど、何をする行事なのかな?

 

このような疑問をもつ方は多いかもしれません。また、テレビのニュースなどで夏越しの祓の行事として「茅の輪くぐり」の様子が放映されますが、その由来についてもよくはわからない、という方はいると思います。

 

そこで、夏越しの祓の意味や由来、さらにはそのときに行われる行事について解説します。

 

夏越しの祓の意味とは

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夏越しの祓は、身に付いた様々な穢れや災厄の基となる罪を払うために行なわれる行事です。

 

日本古来の神道では、人が安らかに生きていくため、一定の時期にその人の身に付いた穢れや罪を払うことが必要と考えられており、そのための行事が行われてきました。この行事は、大祓(おおはらえ)と呼ばれ、毎年旧暦の6月末と12月末に行われてきたのです。

 

明治になり、新暦が使われるようになると、大祓の行事はそのままに、旧暦を新暦に読み替えて、現在に至っています。

 

いわば、半年に一度の割合で、身に付いた穢れや災厄の原因となる罪をきれいに払うのが大祓の行事の目的です。夏越しの祓とは年2回の大祓の行事のうち、6月に行われるものを指します。

 

何をする行事なのか

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夏越しの祓の具体的な行事には、茅の輪くぐりと形代流しの2つがあります。

 

茅の輪くぐり

 

茅の輪くぐりとは、茅(チガヤ)と呼ばれるイネ科の植物を使って作られた直系数メートルにもおよぶ大きな輪を決められた手順にしたがってくぐる行事です。

 

この行事は次の神話に由来するとされています。

 

昔、備後の国を旅していたスサノオウノミコトを蘇民将来という人が貧しいながらも手厚くもてなしました。何年か経った後、そのお礼としてスサノオウノミコトは、病が流行ったら茅で輪を作り、腰につけておけば病から免れることができるとの知恵を授けました。

 

その後、病が流行ったときにスサノオウノミコトのいう通りにすると、病にかかることを免れた、というものです。

 

神話のなかでは腰につけるほどの小さなものだった茅の輪が現在のように大きなものとなり、輪の中をくぐり抜けるようになったのは江戸時代からといわれています。

 

茅の輪をくぐることで、身に付いた穢れや災厄のその罪を払うことができるとされたのです。

 

茅の輪のくぐり方には神社ごとに決められた作法があるので、それに則って行うことが必要です。また、茅の輪をくぐる際には茅をむしってもって帰ることはしてはいけません。

 

茅の輪は、くぐった人の穢れを移しかえるものとされており、その茅を持ち帰るのは穢れを持って帰るのと同じだからとされているのです。

 

ただし、神社によっては持ち帰り用の茅が用意されているところがあるようなので、事前に確認するのもよいでしょう。

 

形代流し

 

形代流しとは、人の形に見立てた紙の人形に自分の罪や穢れを移すことで邪気を払う行事です。

 

紙で作られた人形に名前を書き、それで自分の体をなで、息を吐きかけたうえで川に流すことが一般的ですが、神社によって作法があるので、それに従うようにしましょう。

 

また、形代には車用のものもあります。自動車をかたどったこの形代は車形と呼ばれ、邪気を払う事で交通安全を祈願するものです。

 

夏越しの祓のときに食べるもの

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夏越しの祓だからといって食べなければならない食べ物はありません。また、食べてはいけないものもありません。夏越しの祓に関して食べ物に関する禁忌はない、と考えてよいでしょう。

ただし、習慣として食べられてきた食べ物はあります。有名なのは「水無月」という和菓子です。

 

水無月」は氷を模した白いういろうの上に邪気を払うとされる小豆を乗せた和菓子で、毎年、夏越しの祓の時期になると店頭に並びます。

 

また、近年、夏越しの祓の時期にあわせて公益社団法人「米穀安定供給確保支援機構」によって「夏越しごはん」が新たな行事食として推奨されるようになってきました。

 

「夏越しごはん」は雑穀の入ったご飯の上に茅の輪を模した丸い夏野菜を乗せて食べるものです。乗せる夏野菜には丸形という以外に制限はなく、好きな野菜を使って作ることができます。また、丸形とはいっても使う食材を丸くして盛りつければよいとされているので、堅苦しく考える必要はありません。

 

公開されているレシピもカレー、ガバオ風ライス、かき揚げ丼など多彩です。

 

まとめ

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夏越しの祓は半年ごとに行われる身についた穢れを払う大祓の1つです。穢れを払うというと少し緊張してしまいますが、堅苦しく考えることなく、季節の節目に自分を見つめ直す行事ととらえればよいのではないでしょうか。